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企業で勤める社員の健康管理は自己責任!?
かつて、社員の健康管理は自己責任であり、企業が干渉するものではありませんでした。けれども、最近では企業が主体となって社員の健康管理を行うところが増えています。
まずは、その理由を知っておきましょう。
従業員の健康管理を企業が重視している
社員が不健康になると、集中力が低下したり、生産性が落ちたりするなど、仕事で十分なパフォーマンスを発揮できなくなります。
そのうち仕事についていけなくなり、閑職に配置換えされたり、自ら退職したりするのが、これまでのパターンでした。
それでも、かつては求職者が多かったので、企業側はすぐに代わりの人材を補充でき、大きな影響を受けることはありませんでした。けれども今は、違います。
求職者が激減して優秀な人材を確保するのが難しくなり、退職されると代わりはなかなか見つかりません。その間は会社の運営に必要な人数が不足するため、他の社員にも負担をかけて、不健康にするという悪循環に陥ってしまいます。
不健康な社員の多い企業は、外部からの印象が良くありません。
また高齢化社会によって、社員の平均年齢も上がっています。
何も対策しなければ、今後、不健康になる社員がますます増えるでしょう。
特に最近は、体だけでなく心(メンタルヘルス)の不調を訴える社員も目立ちます。
自社で健康保険組合を運営している場合は、社員の不健康によって医療費が増大するため、さらに負担が大きくなるでしょう。そのときになって対策しようとしても、そのための費用を捻出できません。そのうちに企業そのものが経営危機に陥ってしまうわけです。
いつまでも健康管理を自己責任にするのは、企業を存続する上で好ましくないといえるでしょう。
健康経営とは?
そこで注目されるようになったのが、社員の健康管理を企業経営の一環として戦略的に取り組む「健康経営」という概念です。
アメリカの経営心理学者・ローゼンによる「ヘルシーカンパニー」という思想をベースに、日本のNPO法人「健康経営研究会」が提唱しました。
先ほどとは逆に、社員が健康になれば仕事のパフォーマンスが上がり、離職率の低下も防げます。健康組合の運営による負担も軽減できるでしょう。
それが企業の収益につながり、外部からの印象も良くなります。
そこから健康対策の費用も捻出できるようになり、ますます収益が上がるという好循環が起こるわけです。
実際にアメリカでは、健康管理に投資して、約3倍のリターンを得た企業も存在します。
経済産業省による健康管理の取り組み
健康経営の普及にあたっては、国や自治体が認定制度を設けるなどして、推進しています。ここでは経済産業省の取り組みを見てみましょう。
健康経営銘柄について
「健康経営銘柄」とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、健康経営に優れているところを選定するものです。国民の健康寿命を延伸する取り組みの1つでもあります。
健康経営に優れていれば、長期的に企業の収益が上がると期待できるため、投資家にとっては魅力的に映るわけです。それで株価が上昇すれば、社会的信用が高まり、企業のイメージアップにも繋がります。
2015年から始まり、毎年30社前後の企業が選ばれてきました。花王やTOTO、テルモなど、2019年まで5年連続で選ばれている企業もあります。
健康経営銘柄に選ばれるには、まず8月頃に配布される「健康経営度調査」に回答しなければいけません。上位20%以内に入ったら、直近3年間のROE(自己資本比率)が0%以上であり、重大な法令違反が無いかチェックされ、最終的に33の業種ごとに1社ずつ選定されます。
健康経営優良法人認定制度とは
もう1つ「健康経営優良法人認定制度」は、健康経営を実践している企業の中から、特に優良なところを認定・表彰するものです。規模の大きい企業を対象にした「健康経営優良法人ホワイト500」と、中小企業を対象にした「健康経営優良法人」の2部門があります。
認定されるには、「健康経営優良法人ホワイト」の場合、先ほどの健康経営度調査に回答しなければいけません。上位50%以内に入ったら申請資格を獲得できます。「健康経営優良法人」の場合は、協会けんぽや健康保険組合連合会が実施する「健康宣言」に参加していることが条件です。どちらも申請の後、経済産業省の審査に合格すれば認定されます。
社員の健康のためにどのような取り組みを行っている?
では、健康経営のために、どのような取り組みを行えばいいか、各企業の事例を紹介します。
まずはどのような取り組みを行うべきか調査
社員の健康管理は、単に声をかけたり指示したりするだけでは不十分です。
経営者が主体となり、すべての社員が自分の意志で参加するものでなければいけません。
そうなるために、まずは会社が健康経営することを内外に宣言して、組織づくりを行います。次に全社員の健康診断を行い、取り組むべき課題をピックアップしましょう。時間外労働や休日労働の量、食事の時間帯、休憩や有給休暇の取得状況も把握しておきたいところです。
その上で計画を策定し、実行に移します。最初のうちは重要度の高いものを1つ行うだけで構いません。例えば、朝礼の後にラジオ体操を取り入れたり、自販機のラインアップを無糖やトクホの飲料に限定したり、昼休みに昼寝を推奨したりするなどです。
定期的に参加状況を把握し、達成度に応じて表彰するなど、モチベーションを維持しやすいよう工夫します。参加状況が低ければ、やり方を見直しましょう。
1つ成功したら、他の課題にも取り組んで、幅を広げていきます。
もちろん、これらは経営者が関心を率先して参加しないと、社員は続けてくれません。
担当者任せにせず、積極的にかかわるようにしましょう。
産業医や保健師などの専門家に手伝ってもらうのも効果的です。
取り組みの事例
例えば、ある健康機器会社では、全社員に歩数計を配布し、週に1回は体組成計や血圧計での測定を行いました。さらに自社食堂で健康食を提供し、スポーツクラブでの運動指導も行っています。
これらの取り組みはマスコミでも度々取り上げられ、社員が健康になっただけでなく、業績も大幅に向上しました。
別のインターネット・コンサルティング会社では、昼の休憩を3時間にして、社員が自由に過ごせるようになっています。その間は外出も可能です。心身がリフレッシュされ、長時間の業務に集中できます。
休憩に重点を置いている企業は多く、マッサージチェアや座敷、バーカウンターなどを導入しているところもあるほどです。
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健康経営で休憩の満足度を高めようとお考えの際には、ぜひともご相談ください。
まとめ
社員の健康は企業の収益につながるため、近年では「健康経営」を導入する企業が増え、国や自治体もバックアップしています。まずは社員の健康状態を把握し、取り組むべき課題を見つけて実行しましょう。もちろん、経営者が率先して参加するのが重要です。